美しい山の自然に囲まれてリフレッシュしながら働く「白馬リゾートテレワーク」の魅力に迫る

日本アルプスの山間部に位置する長野県の人気観光地「白馬村」――。言わずと知れたウィンタースポーツやトレッキングの名所だが、ここ数年でカフェ併設のテラスや、アドベンチャー施設などがオープンし、新たな利用者層を取り込むレジャースポットとして進化を遂げた。さらに2020年7月からは、こうした施設をワークスペースとして活用するための宿泊プランが提供されており、大自然に囲まれながら働く新しいスタイルが提案されている。

“映える”施設が続々と誕生してきた

現在、多くの人がウィンタースポーツの名所として白馬を認識している一方、1990年前後に最盛期を迎えた「スキーブーム」は、バブルの崩壊後、徐々に鎮静化の一途を辿った。昨今のインバウンド需要こそ伸びている一方で、白馬村へ向かう国内旅行者の数は、1994年(平成6年)をピークに減少を続けてきた。

こうした苦境に一矢を報いたのが、「白馬観光開発」だ。同社は、白馬村を中心としたエリアで、白馬八方尾根スキー場、白馬岩岳スノーフィールド、栂池高原スキー場などを運営する昭和33年設立の老舗事業者である。そんな同社が、攻めの一手として取り組んだのが、絶景を望めるテラスや、アドベンチャー施設の開設だった。写真映えする体験設計は、若い世代を中心に人気を集め、雪のないグリーンシーズンにおける来訪者増加につながった。

例えば2018年8月には、フランス発祥で世界150を超える箇所で展開しているアドベンチャー施設「エクストリーム・アドベンチャーズ」を日本国内で初導入した。「白馬つがいけ WOW!(ワォ!)」と名付けられた施設は、翌年11月までに2.4万人を超える来場者を記録する人気スポットとなった。

その後2018年10月には、白馬岩岳の山頂に「HAKUBA MOUNTAIN HARBOR(白馬マウンテンハーバー)」というテラスをオープン。標高1289mから北アルプスの絶景を望むことができ、晴れた日には冠雪や紅葉に彩られた山々を、曇りの日には雲海に出会えることもあると評判だ。

同テラスには、ニューヨーク発祥の老舗ベーカリー「THE CITY BAKERY」が併設されており、コーヒー片手に、焼き立てのパンも楽しめるという仕掛けも話題になっている。案の定、夏には、スキーシーズンの観光客数を超える日も生まれるほどとなったという。

2019年7月には、白馬マウンテンハーバーに併設するように、マウンテンリゾート空間「IWATAKE GREEN PARK(イワタケ グリーン パーク)」もオープンした。ピクニックラウンジや、テラス、ドッグラン、プライベートデッキなども揃えた。

さらに同月、標高1400mに位置する白馬八方尾根のうさぎ平テラスの屋上で、まさかの“ビーチリゾート”である「HAKUBA MOUNTAIN BEACH(白馬マウンテンビーチ)」もスタート。スイーツを楽しめるビーチラウンジエリアや、汗をかいてリフレッシュできるサウナ&ジャグジーエリアを備え、高級ホテル併設のプールさながらな様子はメディアにも取り上げられた。

そして2020年7月には、白馬村の街中に位置する複合施設「Snow Peak LAND STATION HAKUBA」のグランドオープンを迎えた。手軽にキャンプを楽しめる宿泊プランは魅力的に映る。先述の「IWATAKE GREEN PARK」と行き来して、街と山を楽しめるプログラム「Snow Peak Go」も提供中だ。なお、施設の現代的な家屋のデザインは、建築家の隈研吾氏が手掛けた。同氏の近作としては、浅草文化観光センターや歌舞伎座などが有名だろう。

こうした取り組みをみると、スポットだけで終わらず、「白馬」(白馬マウンテンハーバーがある)、「八方尾根」(白馬マウンテンビーチがある)、「つがいけ高原」(白馬つがいけ WOW!がある)という3つの山を、エリア全体でエンターテインメントの場となるように準備してきたことがわかる。

こうした精力的な開発について、白馬観光開発の取締役営業企画本部長である太田 悟(おおた さとる)さんは、次のように語る。


白馬観光開発 取締役営業企画本部長の太田 悟氏。1972年生まれ。白馬北部保育園・白馬北小学校・白馬中学校・白馬高校・白馬観光開発株式会社に入社。全て白馬と明記される経歴で白馬をこよなく愛し日々白馬エリアの発信の指揮を取っている。2002年~海外セールス担当として各国で白馬のPRを展開し白馬村のインバウンドの礎を作った。現在は国内・海外営業の統括をして「HAKUBA ヤッホー! FESTIVAL」を10年続くイベントとして継続する事を新たな目標として楽しみにしている。

「少し前までは白馬のイメージはウィンタースポーツと登山の2カテゴリーに分けていたと思います。しかし、ここ5年くらいで、我々はオールシーズンマウンテンリゾートとしての展開を進めてきました。日本のなかでも『山のリゾート』ってどこかあるかな、と考えるとあまりありませんよね。だからこそ5月から11月までのグリーンシーズンに、ライトな旅行者層を取り込みたかったのです。若い女性を中心に、白馬ってお洒落なところなんだ、白馬って簡単に来られるんだって思ってもらえるように努力してきました。例えば、年齢層の高い旅行者には『白馬行くならトレッキングシューズ持っていかなきゃ』と思う人が多いかもしれませんが、我々はあえて『夏ならクロックスでも来れちゃうよ』くらいのイメージで展開してきたのです。ちょっと前には『山ガール』のような言葉も流行りましたが、これが刺さらない、よりライトな層もターゲットなのです。実際には2018年に白馬マウンテンハーバーを作ってから、だいぶ勢いがついてきたかなと感じています」

なお、2020年9月26日から10月4日には白馬岩岳マウンテンリゾートにて「HAKUBA ヤッホー! FESTIVAL」を開催。ガイド付きのトレッキングやランタンを夜空に放つイベント、熱気球フライトや山頂ヨガなど、様々なアクティビティが実施された。

特に10月3日~4日には、白馬岩岳山頂の特設ステージにて音楽ライブ「白馬ノ音」を開催。元「キマグレン」のISEKI氏プロデュースで実施され、「スキマスイッチ」などを始め、計11組のアーティストが登壇して大いに盛り上がった。

今夏は「テレワーク」向けのプランを提供

さて、本題はここから。実はこうした施設の一部をワークスペースとして利用できる、テレワーク向けの宿泊プラン「白馬リゾートテレワーク」が7月から提供されている。休暇をとりながら労働するいわゆる「ワーケーション」とは異なり、リゾート地にいるだけで通常勤務しているスタイルとして、白馬観光開発は「リゾートテレワーク」を提唱する。

ワークスペースとして使える施設は、白馬マウンテンハーバーのほか、白馬岩岳山頂にある「森のオフィス」や、レストラン「スカイアーク」、白馬岩岳山麓エリアにあるデザインショップ「haluta hakuba」、栂池高原にある「UNPLAN Village Hakuba」などが該当する。

例えば、先述した岩岳山頂の白馬マウンテンハーバーで絶景を望みながら、のんびり仕事ができるわけだ。また、THE CITY BAKERYの席もワークスペースとして利用可能で、雨天時や気温が低いタイミングではこちらを利用できる。

ワークスペースとして想定されているスポットには、昨年から電源とWi-Fi環境を用意済み。Web会議中などにプライベート空間を保てるドームテントが用意されている。アウトドアチェアやモバイルバッテリー、ブランケットなどがセットになったレンタルプランも準備中とのことだ。

「もともとは、2020年の東京オリンピックに合わせて、都会の交通機関が動かなくなる懸念を想定して、テレワークができる場所として準備を進めてきていたのです。オリンピック期間中は白馬で過ごそうという狙いで、仕事ができる環境の用意をしていました。たまたまコロナウィルスの影響で、こういう形になってしまいましたが、結果的に福利厚生も兼ねて企業が送り出せる『リゾートテレワーク』という形でご提案させていただきました。作業の合間に疲れたらハンモックで昼寝したり、ゆっくりトレッキングをして、リフレッシュしてもらえればと思います。現在、チームで2週間ごとにテレワークに入ってくれている企業様もいらっしゃいます。また、初日と最終日にそれぞれアンケートをとりながら、リゾートテレワークでの結果も可視化できるような仕組みも用意しております」(太田さん)

ちなみに、リゾートテレワークのプランでは、初日にチームで設定された課題に取り組むワークショップのようなオリエンテーションが用意されている。そこからチームビルディングを行い、実際にリゾートを実施するのは、2日目からだという。2週間のプランの中には、1日だけ岩岳でキャンプをする日も設定されており、2名1組などの体制で、火起こしなどに挑戦できるそうだ。

夏には避暑地としての魅力があったが、10月になると紅葉が美しくなっていく、と副総支配人の山崎 健司(やまざき けんじ)さんは言う。


白馬観光開発株式会社 岩岳営業本部 副総支配人の山崎 健司氏。1974年生まれ。白馬中部部保育園・白馬北小学校・白馬中学校・白馬高校・白馬観光開発株式会社に入社する。太田同様生粋の白馬ネイティブ。白馬観光開発株式会社は八方・岩岳・栂池と3つの山のスキー場運営しているが、入社以来ほとんど岩岳に勤務し過去には冬はスキー場パトロール隊長、夏には山頂にあるねずこの森遊歩道・白馬マウンテンハーバー・MTB・森のオフィスなどの取組みの中心となって動いている。「今回のHAKUBAヤッホー!FESTIVALでも現地全般なんでも屋としてイベント成功に向け頑張っております。ぜひ来場されるお客様やアーティストの皆様に白馬の素晴らしさを表現できたらいいな♡と思っております」

「台風シーズンが落ち着いた10月は、山々の紅葉を望みながら仕事に臨んでもらえる絶好のタイミングです。ただし、9月や10月でも日中は暖かくて心地よいのですが、朝晩は冷えこんで10℃を下回ることもあります。ゴンドラに乗って山頂に行くと3~4度は下がりますし、お越しになる際には、暖かい格好を心がけてもらえばと思います。小さな頃から白馬で生まれ育った私たちだからこそ知っている白馬の魅力を、リゾートテレワークのプランでもふんだんに仕掛けてありますので、きっとみなさんの心にも刺さるものがあるはずです」

オススメのリゾートテレワーク術を伝授してもらった

最後に、今回インタビューに対応してもらった太田さんと山崎さんに、それぞれオススメのリゾートテレワークの過ごし方について聞いた。

山崎さんのオススメは、朝一でゴンドラにのって岩岳山頂に向かい、仕事を進めるプランだ。

「岩岳の山頂は、白馬で一番ロケーションが良いです。午前中の方が景色が綺麗に見えるので、朝ゴンドラで上がってきてもらって、テラスでコーヒーを飲みながら準備をして、森の中で仕事をしてもらうのがオススメですね。お昼は山頂で食べても良いですし、降りるとしたらシティーベーカリーのパンとコーヒーを買っても良いです。レストランでは『白馬デリ』といって、信州の食材を使ったデリカテッセンをやっています。1枚のお皿に好きなものをチョイスして、ランチパックにもできるので、ゴンドラで降りて、河原で昼食をとることもできます。午後はスノーピークでのんびりするのが良いでしょうね。全部山がきれいに見える場所なので、すごく気持ちいと思います。夜はしっぽり焚火をしながらBBQでもすれば、最高な1日になりますよ」

太田さんのオススメも、同じく午前中に仕事を進める作戦だ。午後は白馬ならではのアクティビティも楽しんで欲しいという。

「やっぱり朝に時間を決めて仕事する方が捗ると思いますね。たとえば、近くのホテルに宿泊してもらって、岩岳までマウンテンバイクなどで来る。そこからゴンドラに乗って、シティベーカリーでコーヒーとパンを楽しんでもらったら、一気に午前中に仕事をしてしまうがよいでしょう。昼食は山崎も言っていましたが『白馬デリ』が一番オススメです。信州の野菜をふんだんに使っていますし、地元のケーゼとか、白馬豚を使った加工品を用意していますので、ぜひ食べていただきたい。そのあとは、一度ふもとに降りて、青木湖でSUPをしたり、トレッキングをしたり、アクティブに過ごすのがオススメです。八方にはパラグライダーのタンデムフライトを経験できる場所もあります。都会じゃできないいろんな遊びができるので、午後は仕事をやめて遊びましょう。夜は焚火したり、ワイン飲んだり地ビールを飲んでもらって、仕事のことは一切忘れて過ごしてもらうのがオススメです」

仕事するエリアを変えることで、気分を変えて作業できるのが白馬リゾートテレワークの魅力だ。日数があれば、岩岳で1日、ふもとで1日、または無料で使えるコワーキングスペースである「白馬ノルウェーウィレッジ」のような施設で1日過ごし方もできる。様々なスケジュールでプランを組めるが、満喫するには1週間程度の滞在がオススメとのこと。

自宅に籠りがちな都会での在宅勤務が続く中、作業は同じでも自然豊かな場所に行くだけで、気分転換になることは間違いない。自身や従業員のテレワーク環境を変えるきっかけとして、まずは白馬村の各施設についてチェックしてみて欲しい。

関連リンク

白馬観光開発株式会社