ファッション雑誌専門の古書店「magnif」店主が語る、時代を反映する“流行”を感じる面白さ

2020年1月12日(日)、13日(月・祝)の二日間にわたって、東京・表参道のBA-TSU ART GALLERYで開催するd365のマーケットイベント「サンロクゴ商店街」。本連載では、このイベントにご参加いただくショップやブランドの魅力を深堀りインタビュー。

今回紹介するのは、古書店が軒を連ねる東京・神保町でヴィンテージのファッション雑誌を専門に扱う「magnif(マグニフ)」。あらゆるジャンルの本が集まるこの街にあって、唯一無二のジャンルを深く掘り下げている古書店だ。国内外の様々な時代のファッション雑誌を揃えており、d365世代にとっても懐かしさを越えて、当時を思い出して胸が熱くなりそうな雑誌たちが置いてある。店主の中武康法さんも、90年代に青春を過ごしたd365世代。ファッション雑誌を通して見えてくる、流行の面白さについてお話を聞いた。

「バイト先は古本屋」だった店主

東京・神保町といえば世界でも類を見ない、古書店が集まる古本の街である(カレーの街でもある!)。古今東西、あらゆる本がこの街にはあり、軒を連ねる古書店はどの店も個性豊か。江戸時代以前の古文書を専門に扱う店があれば、アイドル関連書籍で棚を埋める店、映画に関する資料に強い店、その他、音楽、アート、スポーツなど、その道が好きな人には堪らない宝の街なのである。

神保町で古書店のいくつかを覗けば、「インターネットでなんでも調べることができる」なんてことが、いかに嘘っぱちかと気づくだろう。それほどまでにこの街には、あらゆる情報が本の中に収められているのである。

そんな神保町古本屋街の中で、ファッション雑誌を専門に揃えている店がある。その店は、古本屋街の目抜き通りとも言うべき、すずらん通りにある古書店「magnif」だ。神保町広しと言えども、ファッション雑誌だけを扱っている古書店は他になく、国内外のファッション雑誌や関連書籍がずらりと並んでいる。店主の中武康法さんは、学生時代からこの街で過ごし、やがて自らの店を持った人である。

「大学が神保町の近くにあり、学生の頃に古本屋でアルバイトを始めました。一応、大学の授業には出てましたが、とにかくバンド活動にハマって、ほとんどの時間をスタジオで過ごしました」

中武さんがバイト先に古書店を選んだのは、「昔から古いものが好きだったから」という理由だそうだが、その始まりは小学生の頃に聴いたビートルズだったという。

「ラジオでビートルズ特集をやっていたんですが、流れてくる曲が全部知っている曲で、『ビートルズってすごい!』と感激したのを覚えています」

以来、お小遣いをビートルズのアルバムを買うことに注ぎ込み、そのまま60年代カルチャーにもハマっていった。ジョン・レノンを意識した丸眼鏡をかけ、裾の広いデニムも履いた。

古書店のバイトとバンドに明け暮れた学生時代も、そろそろ終わりを告げる時がやってきた。就職活動だ。中武さんが言うには、ちょっとだけ就職活動はしたものの、「これは違う」と思い、早々にスーツを脱ぎ捨て、再び神保町を主戦場に古書店とバンドの生活へと戻って行ったのだった。

流行が巡って、「Boon」が再び売れている

そのまま古書店員として10年ほど過ごした後、2009年に「magnif」をオープンした。

「古い本をたくさん見ていく中で面白いと思ったのが、ファッション雑誌でした。音楽が好きですからロック雑誌もよく見ていましたが、音楽雑誌はどの時代でも、それこそビートルズ特集をやってますし、大体がどこかで見た内容なんですね。ところが、ファッション雑誌は本当にその時代を見事に反映しています。時代を感じることができる楽しさが、ファッション雑誌にはあるので、それを集めた古本屋をやろうと思いました」

中武さんは、音楽も映画も好きだというが、「magnif」に音楽や映画関連の雑誌はほぼない。

「そこは自分の中で線引きをしています。好きではありますが、ほかの店と被りたくないなという思いがありますから」

年代を越えてファッション雑誌を眺めていると、つくづく思うことがあるという。

「ファッションを服装というより流行と捉えると、“巡る”ということをすごく感じます。今で言えば90年代のストリート系ファッションです。雑誌だと『Boon』ですよね。10年前に店を始めた頃は、『Boon』なんて野暮ったいイメージでした。店でも在庫がたくさんあって、売れませんでした。それがここ数年、『Boon』を探しに来るお客さんが増えてきました」

ファッションジャンルを分け隔てることなく揃えるのが大事

『Boon』を買い求める人は様々で、昔を懐かしがる人をはじめ、服飾関係の仕事をしている人、さらには当時を知らない若者が「Boonありますか?」と探しに来ることもあるそう。

「時代が変わり一度は旧くなったものが、またカッコよくなる瞬間があるんですが、それが店をやっていて一番面白いと感じることですね」

本棚に収まっている多くのファッション雑誌の中には、未来の流行が載っているかもしれないと考えると、ページをめくることが、単に「懐かしい」というだけではない楽しみへと変わっていく。

「どんなファッション雑誌を並べるか考えると、ファッションのジャンルなどに捉われることなく、分け隔てなくラインナップするのが一番いいことなんだなと実感しています。今カッコいいものからダサいものまで全て、という感じでしょうか。そして、ずっと変わらないトラッドスタイルの良さも見逃せません。」

最後に中武さんには、学生時代から過ごす神保町という街の魅力も知ってほしいと話す。

「うちの店が面白そうだと思った方は、ぜひ神保町という街へ足を運んでください。この街には、本当に色々な店がありますし、どんな店があるかもご案内できると思います。古本はもちろん、カレーは美味しいですし、カルチャーとしても面白い街です。まだ来られてない方は、ちょっともったいないかもしれません。ぜひ、神保町に遊びに来てください。おすすめです」

【マーケットイベント『サンロクゴ商店街』】
日時:2020年1月12日(日)10:00〜20:00
2020年1月13日(月)10:00〜18:00
場所:BA-TSU ART GALLERY(150-0011東京都渋谷区神宮前5-11-5)
入場料:無料(事前登録が必要となります。こちらよりご登録ください。)
主催:株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント