段ボールアーティスト・島津冬樹さんが手掛ける、世界30ヵ国以上の段ボールを集めて制作する「Carton」の段ボール財布

2020年1月12日(日)、13日(月・祝)の二日間にわたって、東京・表参道のBA-TSU ART GALLERYで開催するd365のマーケットイベント「サンロクゴ商店街」。本連載では、このイベントにご参加いただくショップやブランドの魅力を深堀りインタビュー。

今回紹介するのは、段ボールアーティスト・島津冬樹さんが世界30ヵ国以上の段ボールを集めて回り、オリジナルの段ボール財布を制作する「Carton(カルトン)」。段ボールアーティストとしてどんな活動をしているのか、段ボール財布の魅力はどんなところにあるのか訊いた。

段ボールの可能性を見出したアーティスト

主に商品の運搬などに使われる段ボールは、我々が想像するよりずっと優れた素材だ。軽くて頑丈な上に、多少の水なら問題なく耐えられる。なにより側面のデザインはバラエティ豊かで、メーカーによって、国によっても大きく違いが表れる。

そんな段ボールの面白さに魅了されて、世界30ヵ国以上の段ボールを集めて回り、オリジナルの段ボール財布を制作しているのが、段ボールアーティスト・島津冬樹さんの「Carton」だ。

「もともとは美術系の大学でグラフィックデザインなどを学んでいました。段ボールとの出会いは、大学生活2年目にまで遡ります。当時はお金がなくて財布が買えない状況だったのですが、そこで家にあった段ボールを使って、間に合わせの財布を作ったのが現在の活動へ繋がるきっかけです」

金欠、という理由から作り始めた段ボール財布だったが、意外にも段ボールという素材と財布の相性が良く、また財布としての完成度も高かった。その後、大学の学園祭のフリーマーケットで販売することを決めて、ブラッシュアップを重ねることに。制作のために段ボールを集めるうちにデザインの豊富さに魅了され、さらに実際のお客さんからの反応が良かったことから、創作活動として取り組むことを決意する。

その後は展示会を開いたり、ファッションブランドとコラボしたりなど活動の幅を順調に広げていく。しかし当時の島津さんはまだ学生。進路について「就職」か「アーティスト」か悩んだ結果、恩師のアドバイスを受けて3年間は企業で働くことを選択する。大手広告代理店にて、アートディレクターとして勤務した。

「会社に勤めていたとき収入は安定していましたが、その安心感からそのまま辞められなくなるのじゃないかという不安もありました。やっぱり自分が興味あったのは、アートディレクターとして広告に関わるのではなく、自分の手を動かして制作する段ボールアーティストの道だったんです」

そこで島津さんは会社を辞めて、独立することを決意。段ボールアーティストとしての活動を再開した。

段ボール財布を起点としてモノの見方を変える

Cartonの段ボール財布には、運搬時に書き込まれたであろうメモ書きや送り状の跡などがそのままの形で残されている。そうした段ボールに刻まれた物語、同時に役目を終えて捨てられてしまう儚さを、島津さんは財布という形で落とし込んでいる。

こうした活動が注目されたこともあり、2018年12月にはドキュメンタリー映画『旅するダンボール』が公開された。同作では世界30カ国をめぐり、段ボールを収集する「段ボールピッカー(段ボールを拾う人)」という島津さんのもう一つの側面も紹介されている。

「例えば、イスラエルで拾った玉ねぎの段ボールにはヘブライ語が書かれています。現地の言葉が書かれているのは、コレクション性があって面白い。そのときは、入国審査で『段ボールを拾いにきた』と言ったのもいけなかったですけれど、空港から出るのに4時間もかかりました。帰りもいっぱい段ボール持ってたから止められて……。大変な思いで拾ってきた段ボールには思い入れがあるので、財布にできずに、そのままコレクションしているものも多くなってきました」

将来的には「段ボールミュージアムを作りたい」と話す島津さん。いま持っている宝物は、シリアの難民キャンプに物資を運ぶために使われる段ボールだという。

「本来は絶対に手に入らないものなのですが、なぜかブルガリアの道端に落ちていて、たまたま手に入りました。あと、いま気になっているのは警視庁の段ボールですね。これも全然手に入らないので、どうにか手に入らないかなぁと考えています」

いまでは空間デザインとしての作品制作や、段ボール財布の作り方を教えるワークショップなどの活動も積極的に行っている。エッセイや本も執筆しており、ますます活動の領域が広がっている。

「自分のコンセプトを広げていくというのが重要でして、そのために財布だけではなくて、段ボールの魅力を伝えるのがゴールになっています。みんなに段ボールを好きになってもらいたいわけではないですけれど、普段目に止めないものにも可能性があると感じてもらえれば嬉しいです。

今回参加するサンロクゴ商店街では、小さなお子さんも参加できる簡単なワークショップを開きます。子どものころからモノ作りに親しんでいると、何か欲しいものがあったときに単純にモノを買うのではなく、『自分で作れないかな』という発想にも繋がると思います。そうした考え方は、きっと人生を豊かにする手助けになると思うんです。もちろんワークショップには気軽な気持ちで、ぜひいろんな方に遊びに来ていただきたいです」

■段ボールで作るロングウォレットワークショップ ※参加費3000円(完全事前予約制:定員15名)
開催日時:2020年1月13日(月・祝)10:00~12:00
作成時間:40分程度
対象モデル:ロングウォレット兼ペンケース
※ワークショップで作った財布に、手描きアーティスト集団「WHW!」にお好きな文字を書いていただくことも出来ます。

【応募方法】
こちらのページより会員登録。
②マイページ画面にあるワークショップ予約のバナーをクリック。
③応募フォームに必要事項を入力してご応募ください。

応募期間:2020年1月7日(火)14:00まで。
※定員を超えた場合は抽選となります。
※当選、落選については、2020年1月9日(木)予定でメールにてご連絡をさせていただきます。
※当選の場合には、ワークショップの開始時間を当日10:00~12:00の間でご指定させていただきご連絡いたします。

【マーケットイベント『サンロクゴ商店街』】
日時:2020年1月12日(日)10:00~20:00
2020年1月13日(月)10:00~18:00
場所:BA-TSU ART GALLERY(150-0011東京都渋谷区神宮前5-11-5)
入場料:無料(事前登録が必要となります。こちらよりご登録ください。)
主催:株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
  • photo下城英悟(GREEN HOUSE)