オールドスクールな見た目がツボ。新進気鋭のガレージメーカー「JINDAIJI MOUNTAIN WORKS」

2020年1月12日(日)、13日(月・祝)の二日間にわたって、原宿のBA-TSU ART GALLERYで開催するd365のマーケットイベント「サンロクゴ商店街」。本連載では、このイベントにご参加いただくショップやブランドの魅力を深堀りインタビュー。今回紹介するのは、優れた機能性を持ちながら、素材や見た目はオールドスクールなギアで話題の『JINDAIJI MOUNTAIN WORKS』。必要最低限の装備で素早く山を登る、UL(ウルトラライト・ハイキング)の世界では知られた存在である、ジャッキーボーイスリムこと尾崎光輝さんのブランドだ。その一見しただけではわからない製品に込めた思いと、脱サラして約10年となるこれまでの歩みについて訊いた。

UL界隈で名を馳せたギアクラフトマン


新宿からJR中央線中央特快で43分、クルマなら関越自動車道、東名高速道路、中央道、圏央道にもアクセスしやすい高尾(東京都八王子市)。都会に近く、利便性も良いことから、山を中心とした豊かなライフスタイルを目指す人たちが続々と集まってきている。それは鎌倉・湘南エリアの山版ともいえる活況だ。尾崎さんもそのひとりで、2017年にこの場所へ移り住み、自身のブランド『JINDAIJI MOUNTAIN WORKS』を製作しながら奥さまと犬との生活を楽しんでいる。

浅草生まれの尾崎さん、10~20代はサーフィンやダイビングなど海を中心に遊んでいたという。その後、社会人になり結婚してからは、アクティブな週末を過ごすことが激減した。しかし、30歳の時に夫婦旅行で出かけた立山(富山県中新川郡)で、縦走を楽しむ人々を見かけ、山登りに興味を抱くようになった。

「日本にもアルプスの少女ハイジみたいな世界があるんだ! って感動したんですよ。それと、大きいバックパックを背負っている人たちもかっこよく見えたんです」

そして当時住んでいた調布市深大寺の自宅のすぐぞばにできたお店が、UL(ウルトラライト・ハイキング)を謳う『ハイカーズ・デポ』だったことも運命の導き。今から約10年前のことである。


「軽快に自然を楽しむことはもちろんでしたが、モノ選びの楽しさもありました。アウトドアファッションが盛り上がってきていたこともスタイルとしては面白かったですね。社会人になってからは遊びを控えていましたが、どれも昔から好きだったことなので夢中になりました」

以来、毎週末のようにアウトドアへ出かけてはULを楽しみ、さらにはトレランやフライフィッシングなど活動の場も増えていった。その模様を、ジャッキーボーイスリムの名前でブログにアップしていたところ一躍有名人に。

「タイミングが良かったんですよね。当時、ULは少数派でしたし、今や重鎮とも言える人たちが近くに集まっていましたから。従来型の登山に対するカウンターだったので、叩かれることも多かったですけど(笑)」

Make Your Own Gearの精神で、何でも作ってみた


ULことウルトラライトハイキングは、1990年前後にアメリカで生まれた新しいカルチャー。読んで字のごとく、必要最低限の荷物だけを持つことで軽快に動け、より自然を楽しみながらハイキングができるという思想である。これは従来の重装備な登山に対するカウンターであり、「危険だ」「体力のない奴の遊びだ」などバッシングされる風潮もあったという。ある種のパンク的な試みであり、そのDIY精神は「Make Your Own Gear(自分のギアは自分で作ろう)」というシーン全体の標語にも現れている。

「自分も何か作ってみようと、バックパックの製作キットを50ドルで取り寄せたんです(写真上)。実家から小さなミシンを借りて、ほぼ初めての裁縫。YouTubeが充実している時代ではなかったので本当に試行錯誤でした。その過程もすべてブログにあげたんです」

以来、タープ、テント、中わた入りの服、アルコールストーブなど、自分が使いたい機能を持ったギアをマイペースに製作。その後、39歳で会社を辞めると、前身となる『深大寺山道具研究所』を立ち上げることになる。ほぼ同時期に「ミシンが踏めるなら手伝って欲しい」ということで、旧知の『ローカスギア』(軽量なシェルターやテントで人気のブランド)の製作にたずさわることに。

「『ローカスギア』で使う素材は極薄ですし、ギミックもいろいろとあるので当初は1週間にひと張り(1シェルター)しかできなかった。でも、約10年やってきたおかげで縫製や生地に関する知見は蓄積されました」

2019年春、ブランド本格始動

『JINDAIJI MOUNTAIN WORKS』として完全に独立したのは2019年4月から。現在の主力商品は「Packman Vest」だ。

「ベスト型のフロントポーチですが、背面をストラップのみで構成しているので、どんなパックを背負っても干渉しないんです。また、別売りのパーツを装着すればバックパックと同期ができ、単体でショルダーポーチとして使うこともできます」

「サンロクゴ商店街」では街でも山でも使えるバックパックも登場予定。こちらは薄マチにすることで荷物が下部に溜まってしまうことがないため背負いやすく、フィット感も抜群。見た目はオーセンティックだが、機能性にも優れている。

「『ローカスギア』では最新素材を使った最先端なモノを製作してきたので、自分のブランドではあえてレイドバックしたかった。今現在は、シーン(市場)にはないけれど自分が使いたい、使って良かったものを作っています。ULは重さだけの話ではなく、精神みたいなもの。そこは大事にしています」

最近ようやく「お客さんが喜んでくれるかも」という視点で色を選んだりできるようになったという尾崎さん。商品説明を受けながらモノを見ると、つい欲しくなってしまうシンプルなアイテム群。1月に開催されるd365マーケットイベント「サンロクゴ商店街」で要注目です!

【マーケットイベント『サンロクゴ商店街』】
日時:2020年1月12日(日)10:00~20:00
2020年1月13日(月)10:00~18:00
場所:BA-TSU ART GALLERY(150-0011東京都渋谷区神宮前5-11-5)
入場料:無料(事前登録が必要となります。こちらよりご登録ください。)
主催:株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント