単なるアウトドアショップではない! パーヴェイヤーズが携わる幅広いフィールド/Purveyors 小林宏明

紆余曲折はありつつも、順調だった仕事や日常が東日本大震災で一変。そこから一歩ずつ這い上がり、気持ちが前向きになった瞬間から状況が好転した小林さん。新たに会社を立ち上げ、パーヴェイヤーズをオープンし、現在はどんな日々を送っているのだろうか。

ここは旅先で出会った人たちを紹介する場所

パーヴェイヤーズの店舗は、かつて鉄工所だった。この場所を紹介してくれたのは、桐生に興味を持つきっかけとなったセレクトショップ、st companyのオーナーだったという。しかし、アウトドア関連のショップをやる目的で物件を探していたわけではいなかったようだ。

「常に、空間(物件)を見てから何をやるか考えるタイプなんです。でも、当初から感じていたのは、天然のヤマメが市内で唯一釣れる場所だったり、桐生にはいいフィールドがたくさんある。それなのに、アウトドアショップがないのはなぜだろう? とは思っていました。でも、本当に自分がそういうお店をやるかどうかは、空間を見てから決めましたね。スペースが広いので、テントを張った状態で陳列ができるなど、想像が広がったんです」

何十年と営業されていなかった場所だけに、当初は埃が分厚く溜まっていたとか。そこを妻や仲間たちと掃除するところからスタートさせた。

「吹き抜けの構造で、キャットウォークも広いところが気に入りました。しかも家賃8万円。設備や修繕などすべて自分たちでやる条件ですけど、この家賃であれば、そこまでリスクは高くないと思いました」

オープン当初は、コットン生地のワンポールテントで人気のノルディスク製品が並べられたことで話題となった。現在は、小林さんが全国を旅するなかで出会った名品や、作家もの、アウトドア関連のガレージブランドなど、個性的な商品が数多くラインナップされている。

「インターネットにはたくさんの情報がありますが、いまだにその土地に行かないと手に入らない情報がある。東京にある情報やインターネットで手に入る情報がすべてではないんです。旅をしていると、どんだけ狭い世界にいたんだろうと思い知らされる。このお店は、旅先で出会った人たちを紹介していく場所にしたいんです」

小売り、プロデュース、イベント制作の3本柱

名品でも「うちがやらなくてもいいかな」というメジャーな製品は置いていないとのこと。そういう攻めの経営ができるのは、家賃などの固定費が安いこともあるだろう。

「小売り業が主体というより、この場所がショールームになればいいなと思っているんです。自分はプロデュースが得意なので、このお店をきっかけにいろいろな人が出入りして、キャンプ場やアウトドア関連、旅にまつわるプロデュース仕事が増えたらいいなという思いがある」

現在、パーヴェイヤーズは3本の柱で運営されている。ひとつは輸入業も含めた小売り、ふたつめはシティプランニング系のプロデュース、そしてイベント制作だ。さいたま新都心のけやきひろば(さいたまスーパーアリーナ)で開催されている「アコースティックヴィレッジ」や、「森、道、市場」のアウトドアエリアの制作&プロデュースなど、毎週末のように同社が関わっているイベントが日本各地でおこなわれている。また、自らが主催者となるアウトドア関連の合同展示会「パーヴェイヤーズショー」も行っている。

アイディアは旅をしているときに生まれる

「社員はアルバイトを入れて8人です。なので、店舗にいるスタッフもお店以外の仕事で忙しい。自分は東京と桐生に家があって、家族は東京に住んでいます。一日の流れとしては、朝起きてベッドの中からiPhoneでメールの返信やスタッフへの指示出しをして、午後は最低でも2件程度打ち合わせ。19時頃に夕食をとります。21時頃からテレビを観ながらiPhoneでリサーチ。その後に、取引先の人たちとオンラインゲームを楽しんでいます(笑)」

一見、悠々自適なライフスタイルにも思える。

「自分がすべてをクリエーションをしているので、こういうペースで生きていないと、何かあった瞬間に会社自体が止まりかねない。あとは、常に仕事で旅をしているので、そういうときにアイデアメイクをすることが多いですね」

一般的には「出張」と呼ばれる、遠出の仕事もすべて「旅」としてとらえている小林さん。次回は、その独特な「旅」感覚とビジネスの真髄について話を訊いていく。