「人生に無駄なことは何もない」。マルチスキルが仕事につながる/38explore 宮崎秀仁

アウトドアのガレージブランド「38explore」を主宰する宮崎秀仁さん(愛称ミヤさん)。18歳のときに設計事務所に住み込みで働き、40歳でインテリアデザイナーとして二回目の独立を果たす。今でこそInstagramで1万5千人近くのフォロワーを持つなど、アウトドア界隈で注目を集めているミヤさんだが、ここにたどり着くまでの道のりは紆余曲折があってこそ。店舗設計、電気工事、大工など、これまで関わってきた仕事のすべてが今のマルチスキルを可能にした。「人生に無駄なことは何もない、異なるジャンルでも実になる」。宮崎秀仁さんという男、経験からチャンスを生み出すことに、とかく長けている。

今までの仕事がクロスオーバーするところがアウトドアだった

インテリアデザインを生業としながら趣味のアウトドアでも活躍するミヤさん。その活動はガレージブランドオーナーとしてのモノづくりに留まらず、六角会をはじめとする各種アウトドア事業のプロデュースや、軽自動車のカスタムなど、とにかく幅広い。二足のわらじならぬ、何足ものわらじを器用に履き分けている。

38exploreを人気ブランドに押し上げたのが「ミヤパレ」。建築現場で実際に使われている、三脚に打ち合わせテーブルを設けた簡易的なものをアウトドアユースに転化。ミヤパレはカメラ好きが多いアウトドアズマンの間で大いにハネた。厚み16mmの竹集成材にスチールクロムメッキの脚をセットアップ。三脚次第でロースタイルにもハイスタイルにも変化する。テーブルの上にギアが置けることはもちろんのこと、脚にもシェラカップなどやカラビナを付けた道具類を吊り下げることができる。テーブルのまわりまで使う収納能力の高さが魅力だ。

「おかげさまで多くの注文を受け、一週間ほぼ毎日制作を続けています」ガレージブランドゆえに、大手のような大量生産はできないが、それでも待ってくれる人たちにミヤパレを届け続けている。それでいて新製品の開発を精力的に続けるなど、自身のアイディアをカタチにすることに余念がない。

実際にミヤさんのキャンプ道具は「こうすれば便利」な考えを既製品にカスタムして実現し、ホームセンターや100均ショップで買えるものをDIYして“なければ作る”。それゆえ多くのキャンパーから参考にされているのだ。自身のInstagram「@38explore」で発信される試作品やオリジナルアイテムには多くのコメントやいいねが付き、アウトドア情報の発信地としても機能している。

トコトンやる。そのための苦労はいとわない

「ガレージブランドは横のつながりがある。モノづくりはアイディア勝ちな側面も早いもの勝ちな側面もあるが、勝手にやると干される。コピー品は劣化コピーなので、逆にミヤパレを引き立ててくれます。丸パクリは困りますが…すごいのがきたらこっちも頑張ろうという気持ちにもなります」

海外などではこれまでのアイディアが真似されることもあったそうだが、ミヤさんはそれら模倣品を一笑に付す。それよりもアウトドアシーンを仲間と盛り上げていることが大事。六角会の人気ヘキサテーブルを製造販売する大熊規文さんのTheArthショールーム「The Arth-six」や、火とアウトドアの専門店「iLbf(イルビフ)」のインテリアデザインはミヤさんによるもの。

iLbfでは、お店の中で焚き火や薪ストーブの実演ができるよう苦労したとのことだが、「もったいないはヤダ。やるなら好きにつながること」と、店主の堀之内健一朗さんと納得いくまで作り上げた。インテリアデザイナーとしてのスキルと、アウトドアズマンとしての顔がクロスオーバーした瞬間である。

 

取材中、ミヤさんは自身の死生観についても話してくれた。「昔から“何かに食われて死にたい”ということをよく考えます。サメとかにガバっと(笑)」非常にインパクトある死に様を笑いながら話すミヤさん。スケールが大きすぎる。