「インスタでしか買えない」ことが人気に火をつけた、ざぁ~ッスのヘキサテーブル/TheArth 大熊規文

木材加工の5軸加工機を駆使して作られる六角形のキャンプテーブル、通称「ヘキサテーブル」でキャンプ界を席巻中のTheArth(ざぁ~ッス)。インスタグラムを通じた販売をメインとすることで、人気に拍車がかかっている。インスタグラムでしか、その動向をうかがい知ることができないTheArth代表・大熊さんの仕事を覗く。

インスタが噂を呼んだ

焚き火を囲む使い勝手のいいテーブルを自ら作ってしまった大熊さん。その六角形の独特なフォルムは、いつしか「ヘキサテーブル」という1ジャンルを確立し、キャンプ用品の中での存在感を増していった。現在は、TheArthとしてブランド化し、2019年1月には待望の店舗も構えている。とはいえ、ヘキサテーブルのスタートは、ささやかなものだった。

「2015年に初号機を作ったタイミングで、インスタを始めました。その時は、イエーイ、テーブルできたー!っていう単純なうれしさから、『#キャンプ』ってハッシュタグを付けてアップしたんです。そしたら、すごく引き合いがあったんですよね」

「販売していないの?」とか「欲しい」といった声が集まる中、大熊さんはインスタに反応した人に試作機を無償で配っていた。そうした中に、フォロワーが数万人もいるようなキャンプ界隈では有名なインスタグラマーもいたことで、ヘキサテーブルは瞬く間にキャンプ業界に“噂”として広まっていった。

そうして話題という名の下準備が整ったところで、「ヘキ男」「ヘキ子」といった、見た目のおしゃれさとは裏腹な、いい具合に外したネーミングで正式にリリースされたのだ。

正式に、とはいってもキャンプ用品店などの一般的な流通ルートに乗せることはせずに、インスタグラム上でのみ販売したことが、さらに魅力を押し上げることとなる。

本業があるから、商売っ気を出さずにやっていく

大熊さんのインスタグラムには、キャンプ場で焚き火と一緒にヘキ男が写るような“おしゃれ”な写真ばかりで、商品を前面に押し出したような写真はアップされていない。それどころか、値段もなければ、問い合わせ先もないのである。

「広告もまったく打ってないんですが、問い合わせはものすごい量が来ます。どこで買えますか?とか、いくらですか?とか。インスタのDMでそういった問い合わせが届くので、販売管理用のメールアドレスを送り返しています」

そのメールからも商売っ気があまり感じられない。

「発注いただいたら、かしこまりました、でも、しばらくお待ちくださいというようなテキストを送ります」

受注量が多く、常にバックオーダーを抱えている状態となっている。それでも大熊さんの気持ちとして、工場の稼働率を上げ、生産量を増やしていくといったことは考えていないという。

「そもそも、店舗の内装を作る木工屋としての本業があるので、そこまで必死になって生産量を増やしていかなくても食べていけるんですよ。だから、今の規模感でやっていきたいですね」

ヘキサテーブルがもたらした人との繋がり

ヘキサテーブルが世に出たことによって、大熊さんを巡る環境は大きく変わったという。

「このテーブルが名刺代わりになって、キャンプの世界はもちろん、ものすごくたくさんの人との繋がりができました。今、その繋がりでキャンプとは全く違った別の事業も考えているんですよ」

2019年1月にはTheArthのブランドショップ『TheArth-six』をオープン。このショップの内装はもちろん、大熊さんの本業が発揮され、おしゃれな空間となっている。

「キャンプ界隈だと、僕は単なる六角テーブル作ってるおっさんでしかありません。そう思ってる方がショップに遊びにきてくれて、商品並べている棚なんかを見て、『この棚かっこいいですね』とか言ってくれるわけですけど、いやそっちが本業だから!って(笑)。ショップを作ったことで、本業の方にも興味を持ってくれる方もいて、これからさらにそっち方面も面白い展開になりそうですよ」

スキを仕事にしたら、本業にまで好影響が生まれている。次回は、そんな大熊さんの「スキを仕事にするコツ」について紹介したい。