ゲームの面白さ、その本質は「発明」と「創意工夫」にある/すごろくや 丸田康司

「ボードゲーム・カードゲームの面白さを世の中に伝えたい」との思いから、多岐にわたる活動を展開しているのが、ボードゲーム専門店「すごろくや」オーナーの丸田康司さん。古今東西のゲームに精通する丸田さんに、そもそもゲームの面白さの本質とは何か、そして、シチュエーションや相手に合わせたゲームを選ぶ秘訣について聞いた。

ゲームの楽しさ、その本質は創意工夫にあり

テレビゲーム開発を経て、現在はボードゲームの伝道師的な活動をする、まさにゲームを知り尽くした存在である丸田さんは、ゲームを楽しいと感じることの本質について「自分の中で発明や創意工夫をすること」だという。

たとえばRPG(ロールプレイングゲーム)でダンジョンのボスを目指して探検するとき、あるいはトランプのババ抜きで相手の顔色を伺いながらカードを引くとき。ゲームを遊んでいるプレイヤーは、頭の中である種の攻略法を自分なりに発明していく。それがうまくはまれば「ゲームに勝利する」ことでロジックの正しさが実証されるし、うまくいかなければ、そのフィードバックからまた創意工夫を繰り返す。

人間がゲームを楽しいと感じることの本質は、こうした“発明”や“創意工夫”にあるというのが、丸田さんの考えだ。

そのため、あまり頭を使わない簡単なゲームではすぐに飽きてしまうし、逆にルールや仕掛けが複雑すぎるゲームの面白さは万人に理解されるものではない。プレイヤーそれぞれが自分なりに頭をひねって創意工夫できる「ちょうどいい」ゲームを見つけるのは、思ったほど簡単ではないのだ。実は丸田さんの強みは、遊ぶメンバーやシチュエーションに合わせた最適なゲームを選び、提案できるところにある。

「学校の先生と同じですよね。誰しも経験があるとは思いますが、教師の教え方ひとつで、生徒の興味や理解度は全然変わってしまうでしょう。授業だけでなくゲームだってそう。簡単すぎず、難しすぎず、興味を持って楽しく遊んでもらえるゲームを選ぶのって、けっこう難しいんですよ」

ゲームを遊ぶ順番にまでこだわり抜く“ゲームの献立作り”

丸田さんがボードゲームの面白さに目覚めるきっかけを作ったドイツ製ボードゲームが秀逸だったのは、プレイヤー同士のコミュニケーションを誘発する部分だった。「大人の思考で作られていて、どのゲームも頭の使わせ方がうまい。だから、参加者たちのいろんなやり取りが自然と生まれるんです」

多くのボードゲームは卓を囲んで多人数で遊ぶことが醍醐味。純粋に勝ち負けを競うだけでなく、プレイスタイルから相手の性格が垣間見えるなど、いつもとは違ったコミュニケーションの場が持てることも楽しみのひとつだ。

パーティー会場やイベントの場でゲームをコーディネートすることもあるという丸田さんは、ゲームを遊ぶ順番にまでこだわり抜く。まずは最初のゲームで一気に参加者の心をつかみ、続くゲームでだんだんと場の雰囲気を盛り上げていく“ゲームの献立作り”は、まさに彼の真骨頂でもある。

バリエーションは最低限あればいい

意外にも、プライベートでの丸田さんにはゲームコレクターのような側面は一切ない。もちろん色々なゲームを買って試してはいるものの、不要なものは比較的すぐに手放してしまうそうだ。

「手元にはせいぜい10個か20個くらいのゲームがあればそれでいいやって思っていて。そのなかで、特に自分が本当に好きだと思うものは2、3個でしょうかね。プライベートでは、“使えるゲーム”のバリエーションを最低限確保しておきたい、というだけで。たとえば、実家に帰ったとき親戚と一緒に遊ぶとか、妻と遊ぶとき、子供がたくさん集まるとき、『あらゆるシチュエーションで使えるなぁ、みんなが面白がれるなぁ』って思えるものだけがちゃんと揃っていればいいんです」

最低限のバリエーションで“使える”ものだけを確保する。これができるのも、ゲームと遊びの本質を知り尽くした丸田さんならでは。

参加者にゲームを最大限に楽しんでもらうためには、ゲームそのものを理解するだけでなく、遊ぶ場面や参加者を理解することが欠かせない。ただ自分が面白いと思うだけでなく、他者を思う気持ちがゲーム選びに欠かせないというのは、なんとも感慨深い。これはボードゲームに限らず、暮らしや仕事の多くの場面でも同じことが言えるのではないだろうか。

丸田さんオススメの“使える”ゲーム3つを「三種の神器」として教えてもらった。まずはこれだけ揃えれば間違いのないセレクトだ。