「日本全体で古材の使用量を増やしたい」建築建材のリサイクルショップ「リビセン」の多岐にわたる仕事内容とは?/ReBuilding Center JAPAN 東野唯史

解体される古い建物から、新しい形で生まれ変われる古材を“レスキュー”して販売する建築建材のリサイクルショップ「ReBuilding Center JAPAN(リビルディングセンタージャパン)」。空間デザインの仕事をしていた東野さんが出会ったのは、どんどん壊されていく空き家たち。そんな現状を変えるために立ち上げた同店ではどんなことをしているのか、具体的な仕事内容について話を伺った。

「ReBuilding Center JAPAN」(以下、リビセン)は、「Builders Center」・「Culture Center」・「Design Center」の3つの部門に分かれており、前述の「レスキュー」の活動以外にも、カフェ事業や古材を使った空間設計などの事業も幅広く行っている。その理由について、「リビセン」の代表・東野唯史さんはこう話す。

「ポートランドにある『リビルディングセンター』(以下、本国リビセン)は20年以上活動を続けているのですが、まだ日本だとカルチャーとして根付いていないので難しい部分もあります。そうしたハードルを下げるためにカフェをやっています。

カフェ事業は『Culture Center』での活動になります。カフェ事業の収支はトントンなのですが、その部門ではイベントを企画してアーティストを呼んでライブをやったり、映画の上映会をしたり、作家さんの個展をやったりして、いろいろな人にリビセンの活動に触れてもらうきっかけを増やしています」

カフェには古材を使った洒落たテーブルや椅子が置かれており、実際に購入できる製品もある。また商品ポップには材料費の内訳が書かれているものもあるから、実際にDIYするときの参考にするのもいいだろう。

「ただ古材を販売するだけだと購入していただくまでの敷居が高いと思ったので、『Design Center』という部門でお店や家具のデザインをしています。また企業が持て余している不良品を新しい形で提案するなど、B to Bの仕事も混ぜながら活動しています。どんどん古材の使用方法を生み出すことで、いろんな人がそれを見て、真似をして、日本全体で古材の使用量が増えていくという連鎖を起こしたいです」

社内外からリビセンを支える仲間たち

「リビセン」で働く人は、アルバイトを含めて10名程度。それぞれのやりたいことや得意な分野に合わせて、3つの部門に配属されてレスキューやカフェなどの仕事を行うことになる。もともと個人で活動していた東野さんにとって、仲間と働くことで大きな変化が生まれたそうだ。

「妻とふたりで『medicala』という空間デザインユニットで活動していたときは、個人事業主だったので、とりあえず自分たちが食べられれば良かった。だけど会社になると、当然スタッフ全員分の給料を稼がなくてはいけなくなりました。また、意思の伝達やマネージメントも難しい点です。リビセンらしさを失わないために、組織の在り方やチームの作り方を学ぶ必要がありました。

しかし自分以外のスタッフも一緒に動いてくれるので、仕事としてできる幅が大きく広がったんです。自分が苦手なことが得意な人もいる。データ管理が得意な人、笑顔で接客するのが得意な人など、それぞれのスキルがあります。働いてくれる人の良い部分を見つけてあげて役割を与えると、みんながのびのび働けるし、リビセンが一気に回り出す感覚がありました」

さらにリビセンには「サポーターズ」という興味深い制度を用意されている。これは、リビセンの活動を手伝ってみたい、1日だけでも参加してみたいという人に向けた仕組みだ。古材の釘を抜いたり、店頭に古道具を並べたり、お店の改装作業をしたりなど、その時によって募集内容は変わるが、スタッフたちと一緒に働くことでリビセンを内側から理解できる。

「サポーターズは、月によって変わりますが1ヵ月あたり10~20人くらい来ていただいています。短い人で1日、長い人で1ヵ月くらい滞在することもある。もともとは、社員とお客さんの中間みたいな位置を作りたかったんです。バイトとして働くとなると、けっこうハードルが高いじゃないですか。『リビセン』に入社しないと、僕たちの活動に参加できないというのも僕らの考えと違うと思いました。『medicala』の活動をしていたときやその前から、プロ以外のお手伝いの方もたくさん呼んで現場をみんなで作り上げていました」

例えば、「リビセン」を作るときもサポーターズの協力があった。その時は、2カ月間で約480人もの人が集まってくれたそうだ。「medicala」時代に出会った人や、SNSで繋がっている人たちなど、長年積み上げた関係性があったからこその結果なのかも知れない。

「こちらからの強制力がない状況で、みんなが能動的に「やりたい!」と集まってきてくれた人たちでやっていたので、そうした雰囲気や流れのままやりたかったです。『本国リビセン』はNPO法人なので、ボランティアの人たちがたくさんいます。向こうはぜんぜん規模が違って、年間で3000人くらいが集まります。いろんな都市から大型バスに乗ってやってくることも。日本よりボランティアがカジュアルだし、文化として良い感じなんですよね。だけど日本だとちょっと何かがあるタイミングじゃないと、一般の人がボランティアに参加しづらかったり、なんとなくアメリカとは違う文化だと感じたので、僕たちは『サポーターズ』という言葉を使っています。

また『本国リビセン』がNPO法人なのに対して『リビセン』が株式会社として運営している理由は、再現性が高そうだなと思ったからです。NPOが持っている立場が、アメリカと日本で感覚的に違う気がした。ちゃんと株式会社で営利企業で利益を上げて雇用を生んでいる状態の方が、真似したいという人が増えるはずなんです。僕らは諏訪で終わりたくなかった。日本で空き家が増えて、先進国の中でも異例の人口減少率に対する活動なので、どんどんみんなに真似して欲しいんです」

1日の作業が終われば、みんなで美味しい「まかない」を食べる。最初は知らない人同士でも、最後にはひとつのチームが出来上がっている。そうやって積み重ねてきたことが、いまの「リビセン」を作り上げたのではないだろうか。次回は、そんな「リビセン」と深く関わる“コミュニティ”について、そして実際にこれから何かを始めたい人に向けたヒントを紹介する。